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日本からするとロシアは隣国ですが、馴染みの薄い国です。もっとも「遠い隣国」とは言い得て妙ですね。一方で、その日本にロシアのIT企業が進出していることはご存知でしょうか。数は多くないですが、ロシアの情報技術は日本の市場でも確かに求められています。今回は、日本市場に進出したロシアIT企業を紹介します。

日本に進出する海外IT企業

経済産業省の調査によると、2015年、日本に進出している外資系企業数は3,410社。うちアメリカ系企業が855社、欧州系企業が1,484社、中国が335社、その他アジア諸国からの進出企業が540社となっています。残念ながらロシアの項目はありませんが、欧州系企業に含まれる「その他ヨーロッパ」からの進出企業数は83社です。

 

また、IT企業の進出数は388社で、全体の約10%を占めます。各国別に見ると、進出企業におけるIT企業比率が高い国は、カナダ(28.1%)、インド(20.0%)、その他ヨーロッパ(18.1%)、韓国(16.8%)、アメリカ(15.9%)、中国(15.2%)です。

出典:経済産業省外資系企業動向調査2016」

 

2015年の新規参入企業数は74社で、そのうち13社がIT企業となっています。

 

外資系のどういったIT企業が日本に進出しているでしょうか。就職活動サイトのonecareerによると、2017年の人気外資系IT企業は、1位Google、2位Amazon Japan、3位LINE(韓国)、4位Japan IBM、5位Japan Microsoftとなっています。この他にも、セールスフォースやノキアモトローラ、アジア系ではHuaweiASUS、また、シャオミが正規代理店を通じて進出しており、大方の大手IT企業はすでに日本市場に進出しています。ちなみに2017年12月現在、Yandex、Mail.ru、RamblerなどのロシアのIT大手企業は日本へは進出していません。

 

一方で、近年は海外のスタートアップ企業の進出事例も増えています。2013年にはモバイル決済のSquare、Uberが、2014年にはAirbnb、 法人向けクラウドストレージのBoxが、2016年はNetflixが相次いで、ジャパンオフィスを作っています。

日本に進出するロシアIT企業

では、ロシアのIT企業の日本進出はどうでしょうか。以下、大企業からスタートアップまでご紹介したいします。

 

1. カスペルスキーラボ

www.kaspersky.co.jp

2003年にiMEX社と共同でジョイントベンチャーを設立。2006年に、モスクワ大学スラブ言語学科を卒業し、当時の営業統括部長だった川合林太郎氏が代表取締役に就任。2009年からロシア本社の日本法人株式取得が始まり、2011年に100%株式を取得し、完全子会社化。オフィス移転やスタッフの増強、マーケティングやプロモーションの強化を行いました。

 

2. Dr.Web

www.drweb.co.jp

CEOであるBoris A. Sharovはモスクワ大学アジアアフリカ諸国学部にて日本語を勉強しており、日本語が堪能です。韓国企業に対し、アンチウイルスエンジンのOEM供給を行い、日本でも大手のソフトウェア販売会社を通して販売されていましたが、こちらは2012年に終了しています。2010年に日本法人を設立し、Dr.Webブランドとして製品の販売・サポートを行なっています。

 

3. ELSYS

www.elsysj.net

ロシア政府系研究機関であるELSYS社と日本国内における独占ライセンス契約が結ばれ、2015年に日本法人が設立されました。当初は資本金1,000万円で10人の出資者により立ち上げられ、女優の「東てる美」も投資家に名を連ねていることでも有名になりました。がっちりマンデーで取材され、その認知度を高め、2016年のG7サミットでも導入されています。

 

4. カープライス

www.carprice.co.jp

ロシアカープライスの大株主であるオスカー・ハルトマンが2015年に市場調査で来日した際、元三井住友銀行でロシア駐在歴のあった、現CEOの梅下直也氏に日本法人の設立を持ちかけたのがきっかけです。ロシア法人と日本法人に直接の資本関係はありませんが、日本法人はオスカー・ハルトマンからの出資を受けています。2016年には三井物産株式会社引受先とする第三者割当増資を実施しており、資本金も5.5億円、従業員も20名から36名となり拡大中です。ちなみに三井物産株式会社はQiwiにも投資をした事で知られています。

上記以外にも、ジャパンオフィスはありませんが、画像加工アプリのPrismaは一時期SNSで大きな話題となりましたし、仮想通貨・ブロックチェーンに携わる人であれば、仮想通貨Etheriumの創業者ヴィタリック・ブテリンがロシア出身であることを知る人は多いと思います。また、ロシア発とは認知されていませんが、ブロックチェーンプラットフォームのWaves platformも知られていると思います。

海外スタートアップを
受け入れる国家戦略特区

とはいえ、まだまだロシアIT企業の日本進出事例は少ないです。ここには、文化的・社会的慣習の違いや、言語ハードル、情報不足による進まない市場理解など、多くの問題があります。これらは次回以降に見ていくとして、今回は、日本進出を考えたときに、現実的にすぐに問題になるビザにフォーカスして、スタートアップビザを提供している自治体を紹介したいと思います。

 

通常、外国人が日本で起業するために「経営・管理ビザ」を獲得するには、①500万円以上の資本金②常勤2人以上の職員の確保③事務所の開設、といった条件が前提となっています。起業前に日本で別のビザを所有していない場合、トラベルビザ、もしくはビジネスビザで入国してこの条件を揃えなければいけませんが、連絡先がホテルでは、事務所などの契約を結ぶのは難しいでしょう。非常にハードルの高い条件といえます。

 

2015年に始まった「スタートアップビザ」制度は、この3つの条件を半年間猶予します。半年間で条件をクリアできれば、通常の経営・管理ビザに切り替えることができる仕組みです。国家戦略特区に指定された地域が実行できる規制緩和策でもあります。

 

申請には、必要書類(申請書、事業計画書、工程表、履歴書、入国後6ヶ月の住居を明らかにする書類、銀行の預金残高証明書など)を原則、申請者本人が自治体に提出する必要があります。申請前に滞在中の住居を決めておかなければならない、提出は原則申請者本人に限るなど、少なくとも申請前に最低一度は渡航する必要がありそうですが、それでもスタートアップビザ制度のない自治体と比べると、格段に創業のハードルは下がります。

以下が、スタートアップビザ制度を提供する自治体です。

 

1. 仙台市

スタートアップビザ(外国人創業活動促進事業)について|仙台市

仙台市は、日本の北東エリアに位置し、この地域では最大の都市です。人口は108万人。2010年に地震がおきた宮城県の県庁所在地でもあります。震災後、国内外問わず起業支援に力を入れており、起業に関するポータルサイトも準備しています。仙台市ではスタートアップビザ申請にかかる書類は、指定の法律家に委託して提出してもらうことも可能です。


2. 新潟市

新潟市国家戦略特別区域「外国人創業活動促進事業」 新潟市

新潟市日本海側北部に位置し、人口は約80万人。1970年代に新潟ーハバロフスクの直行便が開通し、ロシアからの木材輸入、新潟からの中古車輸出で、日ロビジネスの歴史も長い地域です。新潟市では、オフィス賃料をサポートする補助金制度や、会社登記にかかる免税を受けることができます。


3. 東京都

www.seisakukikaku.metro.tokyo.jp

東京都は日本の首都であり、人口約1,300万人のメガポリスです。東京周辺も含めるとNY都市圏を上回る世界最大の経済規模を有します。多くの日系・外資系会社が本社を構え、また、金融セクターとしては、世界第5位の規模です。外国人の創業を促す制度としては、スタートアップビザ制度以外にも、各種手続きを一元化した起業支援センターや、海外スタートアップ向けのアクセラレータプログラムなど、海外起業家向けに様々な支援プログラムが準備されています。特にアクセラレータプログラムでは、東京に本拠地を構える沢山の大手企業がパートナーとして登録しており、ネットワーキングやマッチングの場としても活用できます。プログラムはFintech、Newtech、Blockchainの3つがあります。


4. 愛知県

愛知県国家戦略特別区域「外国人創業活動促進事業」の実施について – 愛知県

愛知県は日本列島のほぼ中心に位置しており、人口約750万人。トヨタを輩出した県としても有名であり、自動車産業・航空機産業が盛んで、日本の工業の中心地です。愛知県ではスタートアップビザ申請にかかる書類は、指定の法律家に委託して提出してもらうことができます。


5. 今治市

今治市国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業 | 営業戦略課 | 今治市

今治市は内海と太平洋に囲まれた島、四国の中に位置し、人口は約15万人。古くから造船業が盛んで、日本最大の造船会社も本社を置く。近年は、島と本土を結ぶ60kmに及ぶ橋の上をサイクリングできるとあって、国内外から多くのサイクリストが集まっています。


6. 広島県

www.pref.hiroshima.lg.jp


広島県今治市と海を挟んで対岸に位置し、人口は約280万人。日本有数の鉄の産出地で、戦時中、日本陸軍と海軍の拠点が置かれたことから、造船業自動車産業を始めとする工業が発展しました。MAZDAも本社は広島です。広島県は、国内外の著名なベンチャー関係者を招いてのセミナーやハッカソン、大企業とスタートアップとのミートアップなどベンチャー支援に力を入れいます。また、中高生向けプログラミング授業やGoogleとの協力イベントを開催するなどIT人材の育成にも取り組んでいます。広島県ではスタートアップビザ申請にかかる書類は、指定の法律家に委託して提出してもらうことができます。 


7. 福岡市

福岡市 国内初「スタートアップビザ(外国人創業活動促進事業)」を始めます

福岡市は日本の南西部に位置し、人口約150万人。古くから外港としての整備が進み、日本の外交・貿易の窓口でした。都市の人口規模・経済規模としては、日本でTOP5に入り、近年は中国や韓国の企業が日本進出の足がかりとして、福岡市へ進出する例も多く見られます。第三次産業は市内総生産額の約95%を占めており、商業・サービス業が中心の都市です。有名なゲーム会社レベルファイブも本社を置くことで知られています。福岡市はスタートアップビザ制度で最も成功している都市として知られています。その理由は、官民の連携です。受付窓口はスタートアップカフェとして、民間の書店の一角を借りて運営されており、日英バイリンガルと起業に詳しい専門家が常に2名常駐しています。そこでは会社登記や許認可申請を手伝ってくれる法律家や弁護士、会計士、オフィスを仲介する不動産業者などを紹介してもらえます。福岡市では、これらのサポートに加え、住居、オフィス、それぞれの賃料補助を受ける補助金制度が準備されています。

 

 

今回の記事は元々はロシアのスタートアップ企業向けに作ったものですが、日本人も知らないスタートアップビザ制度などについても調べる事ができたので、日本語版を載せておきます。それにしても、ロシア企業の進出事例はまだまだ少ないです。

 

 

 

地図で見るロシアハンドブック

地図で見るロシアハンドブック

 

 

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